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Japanische Klassiker mit Furigana

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アンドロギュノスのちすじ

アンドロギュノスの裔

渡辺 温

Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

――それは小石川よ、どうしてそんな判り切ったことをきくの? イブカさん……」と水兵服の少女は、もうすっかり晴れやかな様子になっていて、井深君の腕につかまり乍ら一層甘えるような声で云った。井深君はあたりを見廻した。

――ばか、ばかなことを云うのはお止し。そして、いい子にならなくてはいけない……ねえ、わかったかい……じゃあ、さよなら……」と云うと、いきなり、その水兵服の少女を抱きしめて強く接吻した。そしてすぐ、はるかに平河町の方から坂を下ってくる電車をめがけて後をも見ずに駈け出した。

ところが、その翌朝のこと、園田の声で電話がかかった。

(――井深君、井深君。昨晩は妹がとんだ厄介になって、どうも有難う。あいつはお転婆だからね、いい薬だったろうよ。それでも、妹は君がとても親切にしてくれていい人だって、ひどく喜んでいたよ――)と云うのである。井深君はそれで、三十分も電話の前に黙って立ちつくしていた。

――僕はなぜ、はじめ見た瞬間に、その空色の水兵服の少女が、園田の妹に(似ている――)なぞと思ってしまったのでしょうかね、わかりませんよ。なぜ、園田の妹だ、とすなおに思わなかったのでしょうかね、全くわかりませんよ。