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Japanische Klassiker mit Furigana

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アンドロギュノスのちすじ

アンドロギュノスの裔

渡辺 温

Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

尤も最早赤い煙突ではなかった。赤かった色は醜い岱赭色に変っていた。

その時ふと隣の邸の中から唄声が聞えて来た。

…………

妙に清らの、ああ、わが児よ

つくづく見れば、そぞろ、あわれ

かしらや撫でて、花の身の

…………

どうやら若い男の声であった。彼女は今迄一度だって隣の邸でそんな唄声のしたのを聞いた事がなかったので、窓枠の外に顔をさしのべて耳を欹てた。頸の両側へ綺麗に編んで垂れた真黒な振分髪の先に結んである水色のリボンが夕方の風に静かに揺らいだ。

いつまでも、かくは清らなれと

いつまでも、かくは妙にあれと

…………

唄の声が段々近くなって、やがて彼女の窓と真正面に向き合ったところにある紅がら色に塗った裏木戸が開くと、全く見知らない一人の背の高い青年が出て来た。ところが青年は思いがけない彼女の顔に出遇うと顔を赭くした。そして周章てて表通の方へ出て行った。その素振りには、まるでひどく気を悪くでもしたようなところが見えた。

だが、次の日の夕方になって彼女はその青年と言葉を交した。昨日と同じ位の時刻に、同じメロディを今度は口笛で吹きながら、紅がら色の裏木戸から出て来た。