Japanische Klassiker mit Furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme
そして、三鞭酒を矢鱈に抜かせた。
私の有頂天になりようが、あまり激しかったせいか、H――は少からず機嫌を害ねたらしかった。戻り途で、私が唄を歌いはじめると、H――氏は苦々しい顔をして、『どんなに楽しいことがあったにせよ、あまり泥酔して時花唄などを歌って歩くのは、我々に全く似合わしくないこととは考えませんか?――』とたしなめた。
それで私は、折角打ち明けて聞いて貰おうと思っていたところだったが、「星の花」について何も云い出せずにしまった。
翌日、私は早くからH――氏の部屋を訪れて、ロマンティストは、一体どんな指環を恋人のために択ぶべきかを質いた。
『君に恋人があるんですか?――』
『指環が万事物を云うのです。』
『せいぜい立派なのを買ってお上げなさい。』
『蛋白石と云うのですが、僕には宝石の鑑定などは少しも出来ないのでしてね。』
『造作もない話です。一緒に行こうではありませんか。そんな贈物はロマンティストとして是非とも細心を要することです。』
H――氏は非常に乗り気になって、直ぐ宝石屋迄一緒に行ってくれた。そうして、殆ど自分独り決めに、恰もH――氏の贈物ででもあるかの如き熱心さで、いろいろと吟味した末、一番値の張った奴を択び出した。