Japanische Klassiker mit Furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme
そして、非常に機嫌のいい声でこう云うのであった。
『――昨日は、どうも飛んだ思い違いだったのですよ。「星の花」に事情を質してみたところが、彼女は僕から先に買って貰った命よりも大切な指環を烏渡した不注意から失してしまって、可哀相に自殺しようとまで思いつめたんだそうです。併し、恰度、そこに君と云うロマンティストが近寄って来たので――彼女は女に似合わず、非常に良くロマンティストを理解しているのです――つまり、君の厭味のない親切を信じて、つい頼る気になったのですね。それで……』
『ロマンティストの友情にかけて――』と私は、おそるおそる切り出した。『私は、ロマンティストの生活を長く暮しすぎたために破産してしまいました。もう今日のお米がありません。夜逃げの旅費をほんの少し貸して下さい。』
『お金※(疑問符感嘆符、1-8-77)――』H――氏は金庫の蓋に手を置いたまま愁しげに首を振った。『一文もないのですよ。この金庫に入っているのは、みんな贋造紙幣です。いいえ、全く偽せ物に違いないのです。ロマンティストは、金の工面に奔走したり、友情を強要したりすることよりも、自分一人で牢屋に入った方が、ずっとロマンティックだと思いますからね。