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Japanische Klassiker mit Furigana

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アンドロギュノスのちすじ

アンドロギュノスの裔

渡辺 温

Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうしたんです? まさか、身投げをするつもりじゃないでしょうね。」

私は急に悲しくなってむせび泣いた。

「おやおや、困りますね、一体どうしたって云うのでしょう。泣いてちゃわかりません。わけをお話しなさい。」

「お父さんが、いなく、なった、のです!……」と私はようやく答えた。そして、それから、父のためにどんな風にしてあざむかれてしまったかを語った。

「お父さんはどんな様子の人です?」と役人はきいた。

「よく思い出せないのです。そう、恰度あなたみたいな人です。髭がなくなってつるつるした顔をしていました。そして、しかもやっぱりそんな大きな眼鏡をかけていました。ああ、ほんとにあなたとそっくりです!」と私は叫んだ。

税関の役人はドギマギとしてその髭のない貧しげな顔を両手で抑えた。

父。髭なし。麦わら帽子。鼈甲縁眼鏡(時として使用す)赤地ネクタイ。その他、※(「さんずい+肅」、第4水準2-79-21)洒たる青年紳士――。

親切な税関の役人は右のような人相書を作って、サクソニヤ号の次の寄港地へ宛てて照会した。しかし、もとよりそんな人相書は、たとえばその中の赤地のネクタイ一本がもつ手がかりよりも、決して重要な特徴を示していなかったことは事実である。