Japanische Klassiker mit Furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme
もしかして自分が世にも名高い女優であることを、このあざらしのように内気な青年は知らないのではあるまいかと疑ってもみるのですが、いつか海岸で恰度青年がしゃがんでいた砂の上に彼女の名前が大きく書かれてあるのを見かけたことさえあったし、そんな道理はない筈です。――彼女は華車な両肩がぴんと尖った更紗模様の古風な上衣を着て、行儀よくいずまいしたまま、青年の後姿を腹立しげに睨むより仕方がありませんでした。
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彼女は、なんとかして青年と近づきになれるような大きなきっかけを作ろうと思いました。そこで、彼女は青年が泳ぎに行くような時を見計らって、彼女も海へ行って、青年の泳いでいる付近で溺れて助けて貰おうかと考えたのですが、その計画は実行されるに至りませんでした。青年は泳ぎが非常にまずくて、殆ど腰ほどの深さのところばかりに立っているのに、彼女は五哩遠泳位はやれそうな腕前なのでしたから。
青年は、砂の上に寝ころんで、はるかに、赤と青とのだんだら縞の水着を着た彼女のか細い腕が、抜き手を切って波と戯れているのを、不思議そうに見物していました。
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