Japanische Klassiker mit Furigana
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カインのまつえい
カインの末裔 クララの出家
有島 武郎
Lesen Sie カインの末裔 クララの出家 (カインのまつえい) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.864 Zeichen · 93 Bildschirme
荒らくれた大きな自然だけがそこに甦った。
こうして仁右衛門夫婦は、何処からともなくK村に現われ出て、松川農場の小作人になった。
(二)
仁右衛門の小屋から一町ほど離れて、K村から倶知安に通う道路添いに、佐藤与十という小作人の小屋があった。与十という男は小柄で顔色も青く、何年たっても齢をとらないで、働きも甲斐なそうに見えたが、子供の多い事だけは農場一だった。あすこの嚊は子種をよそから貰ってでもいるんだろうと農場の若い者などが寄ると戯談を言い合った。女房と言うのは体のがっしりした酒喰いの女だった。大人数なために稼いでも稼いでも貧乏しているので、だらしのない汚い風はしていたが、その顔付きは割合に整っていて、不思議に男に逼る淫蕩な色を湛えていた。
仁右衛門がこの農場に這入った翌朝早く、与十の妻は袷一枚にぼろぼろの袖無しを着て、井戸――といっても味噌樽を埋めたのに赤の浮いた上層水が四分目ほど溜ってる――の所でアネチョコといい慣わされた舶来の雑草の根に出来る薯を洗っていると、そこに一人の男がのそりとやって来た。六尺近い背丈を少し前こごみにして、営養の悪い土気色の顔が真直に肩の上に乗っていた。