Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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カインのまつえい

カインの末裔 クララの出家

有島 武郎

Lesen Sie カインの末裔 クララの出家 (カインのまつえい) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.864 Zeichen · 93 Bildschirme

Aozora Bunko

「お前も一番乗って儲かれや」

とその中の一人は仁右衛門をけしかけた。店の中はどんよりと暗く湿っていた。仁右衛門は暗い顔をして唾をはき捨てながら、焚火の座に割り込んで黙っていた。ぴしゃぴしゃと気疎い草鞋の音を立てて、往来を通る者がたまさかにあるばかりで、この季節の賑い立った様子は何処にも見られなかった。帳場の若いものは筆を持った手を頬杖にして居眠っていた。こうして彼らは荷の来るのをぼんやりして二時間あまりも待ち暮した。聞くに堪えないような若者どもの馬鹿話も自然と陰気な気分に押えつけられて、動ともすると、沈黙と欠伸が拡がった。

「一はたりはたらずに」

突然仁右衛門がそういって一座を見廻した。彼れはその珍らしい無邪気な微笑をほほえんでいた。一同は彼れのにこやかな顔を見ると、吸い寄せられるようになって、いう事をきかないではいられなかった。蓆が持ち出された。四人は車座になった。一人は気軽く若い者の机の上から湯呑茶碗を持って来た。もう一人の男の腹がけの中からは骰子が二つ取出された。

店の若い者が眼をさまして見ると、彼らは昂奮した声を押つぶしながら、無気になって勝負に耽っていた。