Japanische Klassiker mit Furigana
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カインのまつえい
カインの末裔 クララの出家
有島 武郎
Lesen Sie カインの末裔 クララの出家 (カインのまつえい) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.864 Zeichen · 93 Bildschirme
若い者は一寸誘惑を感じたが気を取直して、
「困るでねえか、そうした事店頭でおっ広げて」
というと、
「困ったら積荷こと探して来う」
と仁右衛門は取り合わなかった。
昼になっても荷の回送はなかった。仁右衛門は自分からいい出しながら、面白くない勝負ばかりしていた。何方に変るか自分でも分らないような気分が驀地に悪い方に傾いて来た。気を腐らせれば腐らすほど彼れのやまは外れてしまった。彼れはくさくさしてふいと座を立った。相手が何とかいうのを振向きもせずに店を出た。雨は小休なく降り続けていた。昼餉の煙が重く地面の上を這っていた。
彼れはむしゃくしゃしながら馬力を引ぱって小屋の方に帰って行った。だらしなく降りつづける雨に草木も土もふやけ切って、空までがぽとりと地面の上に落ちて来そうにだらけていた。面白くない勝負をして焦立った仁右衛門の腹の中とは全く裏合せな煮え切らない景色だった。彼れは何か思い切った事をしてでも胸をすかせたく思った。丁度自分の畑の所まで来ると佐藤の年嵩の子供が三人学校の帰途と見えて、荷物を斜に背中に背負って、頭からぐっしょり濡れながら、近路するために畑の中を歩いていた。