Japanische Klassiker mit Furigana
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カインのまつえい
カインの末裔 クララの出家
有島 武郎
Lesen Sie カインの末裔 クララの出家 (カインのまつえい) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.864 Zeichen · 93 Bildschirme
そこからは気息づまるような不快な匂が彼れの鼻の奥をつんつん刺戟した。
「小作料の一文も納めないで、どの面下げて来臭った。来年からは魂を入れかえろ。そして辞儀の一つもする事を覚えてから出直すなら出直して来い。馬鹿」
そして部屋をゆするような高笑が聞こえた。仁右衛門が自分でも分らない事を寝言のようにいうのを、始めの間は聞き直したり、補ったりしていたが、やがて場主は堪忍袋を切らしたという風にこう怒鳴ったのだ。仁右衛門は高笑いの一とくぎりごとに、たたかれるように頭をすくめていたが、辞儀もせずに夢中で立上った。彼れの顔は部屋の暑さのためと、のぼせ上ったために湯気を出さんばかり赤くなっていた。
仁右衛門はすっかり打摧かれて自分の小さな小屋に帰った。彼れには農場の空の上までも地主の頑丈そうな大きな手が広がっているように思えた。雪を含んだ雲は気息苦しいまでに彼れの頭を押えつけた。「馬鹿」その声は動ともすると彼れの耳の中で怒鳴られた。何んという暮しの違いだ。何んという人間の違いだ。親方が人間なら俺れは人間じゃない。俺れが人間なら親方は人間じゃない。彼れはそう思った。