Japanische Klassiker mit Furigana
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カインのまつえい
カインの末裔 クララの出家
有島 武郎
Lesen Sie カインの末裔 クララの出家 (カインのまつえい) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.864 Zeichen · 93 Bildschirme
そして唯呆れて黙って考えこんでしまった。
粗朶がぶしぶしと燻ぶるその向座には、妻が襤褸につつまれて、髪をぼうぼうと乱したまま、愚かな眼と口とを節孔のように開け放してぼんやり坐っていた。しんしんと雪はとめ度なく降り出して来た。妻の膝の上には赤坊もいなかった。
その晩から天気は激変して吹雪になった。翌朝仁右衛門が眼をさますと、吹き込んだ雪が足から腰にかけて薄ら積っていた。鋭い口笛のようなうなりを立てて吹きまく風は、小屋をめきりめきりとゆすぶり立てた。風が小凪ぐと滅入るような静かさが囲炉裡まで逼って来た。
仁右衛門は朝から酒を欲したけれども一滴もありようはなかった。寝起きから妙に思い入っているようだった彼れは、何かのきっかけに勢よく立ち上って、斧を取上げた。そして馬の前に立った。馬はなつかしげに鼻先きをつき出した。仁右衛門は無表情な顔をして口をもごもごさせながら馬の眼と眼との間をおとなしく撫でていたが、いきなり体を浮かすように後ろに反らして斧を振り上げたと思うと、力まかせにその眉間に打ちこんだ。うとましい音が彼れの腹に応えて、馬は声も立てずに前膝をついて横倒しにどうと倒れた。