Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
チェーホフのたんぺんについて
カシタンカ・ねむい 他七篇
神西 清
Lesen Sie カシタンカ・ねむい 他七篇 (チェーホフのたんぺんについて) von 神西 清 (じんざいきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.418 Zeichen · 92 Bildschirme
もしチェーホフがひそかに恋している相手があったとしたら、後にも先にもこの人のほかに心当りはない。二人の交際はチェーホフの三十歳ごろから結婚の前の年まで、やはり十年ほど続いているのだが、そのわりあい初期の一八九四年、リーヂアは声楽の勉強にパリに留学した。その年の秋、チェーホフも医者のすすめで南仏のニースへ転地療養に行っている。あとを追って行くような気持も幾分はあったのではないかと、一応は想像したいところだが、彼がパリへ出かけた形跡は見当らない。パリとニースの間に文通があるきりだ。その中でリーヂアは、チェーホフを冷たいと言って咎めている。チェーホフはそれに答えて、わざわざ仰しゃるまでもない、と自認している。ほかの手紙を見ても、この調子を破るようなものは一つとして認められない。つまり十年間を通じて熱量(いや寧ろ冷量)に変化はないのだ。愛とチェーホフとの間隔は、終始一貫のびも縮みもしていない。永遠なる二本の平行線が、おそろしく単調な透視図を形づくっているだけなのだ。これが恋なら、よほどおかしな恋である。この単調ななかに何か変化を与えているものがあるとすれば、それはチェーホフの眼の色だろう。