Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
カストリしゃじけん
カストリ社事件
Lesen Sie カストリ社事件 (カストリしゃじけん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.043 Zeichen · 21 Bildschirme
カストリ雑誌などゝ云って、天下は挙げて軽蔑するけれども、これを一冊つくるんだって、容易じゃないよ。まア、社長の顔を見てごらんなさい。やつれていますよ。これは、キヌギヌの疲れ、などという粋筋のものではない。生活難です。
「オイ、居ると云っちゃ、いかん。居ると云っちゃ、いかん」
これが社長の口癖であった。彼は必死なのである。
なんとかして、カストリ社の入口に受附をつくらねばならぬ。入口の扉をあける。ビルの一室を占めているカストリ社の全景は、ただちに見晴らしではないか。これは怪しからん。
「ねえ、先生、ウアッ、怪しからん。生命にかかわる。わが社は、受附をつくらねばならぬ」
「なにィ」
このカストリ社は、社長を先生とよぶ。なぜなら、彼は文士である。文士であった。粋であった。通であった。粋にして、通なるものが、カストリとは、何事であるか。世の終りだ。
文藝春秋とか、鎌倉文庫とか、文士が社長の雑誌社は、例がある。然し、彼らは、カストリ雑誌ではなく、思想高遠、威名天下にあまねく、それらの偉大なる社に於ては、チンピラ記者といえども、カストリの如きは、飲まぬ。ワア、ひでえ。