Japanische Klassiker mit Furigana
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カストリしゃじけん
カストリ社事件
Lesen Sie カストリ社事件 (カストリしゃじけん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.043 Zeichen · 21 Bildschirme
春暖の候となるや、靴をぬぎ、両足を机の上へつきのばして、両手をクビの後にくんで、ボンヤリ天井をにらんでいる。夏になると、靴下もぬぎ、机の上へカナダライに水をいれて、その中へ足を突ッこんで、両手を後クビにくんで、天井をにらんでいる。
頃しも、春であった。机へ乗っけた社長の先生の両足にならんで、二十万円の現金がつみ重ねられている。花田の顔は、泣きだしそうに見えた。たゞ今、帝銀で、かせいで来ました、というようであった。それ以外に、どう考えれば、こんな奇蹟がありうるのか。
社長の先生も、あきらめきった顔をして、泥亀の要領で、足を机の下へひっこめた。
「もらったんです。つまり、くれたんですな」
と、花田は、切ない顔つきで、逐一事情を説明した。
「なぜ、くれたんだ」
「それが、その、わからねえや。つまり、くれたんですな。オトコ、か、ねえ」
「フーム。オトコ。そうか。オトコ、か。わかった」
と、叫んだが、わかったような顔ではない。
ともかく、金曜日、車親分が社へくるというから、それを待つことにして、二十万円は、見る見る借金を払い消え失せてしまったのである。
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