Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.767 Zeichen · 54 Bildschirme

Aozora Bunko

「……釣鈎も網もないとすると、簗をつくってかいぼりするよりほかないようね」

水はせいぜい膝がしらぐらいの深さしかないが、五間ほどの幅で、岩にせかれながら相当早い瀬をつくって流れている。ちょっと手軽にゆきそうもない。

「たいへんだ。この大きな川をかいぼりするのかしら……」

しかし、それより方法がないとなると、やっつけるよりしようがない。

キャラコさんは、だいたい思いきりのいいほうだから、いつまでもグズグズ考えていない。スカートの裾をたくしあげると、すぐさまかいぼりの実地検分にとりかかった。

丹沢の地震のとき、このへんもだいぶひどくやられたとみえ、凝灰石の大きな岩がいくつも川の中へころげ落ちて、ところどころで流れをせきとめている。その岩と岩との間を簗でふさいでゆけば、どうにかかいぼりができそうな工合だった。

キャラコさんは、物置小屋に古い葦簀があったのを思い出し、小屋まで駆け戻ってそれをひと抱えかかえて来た。

おもしろいどころではない。キャラコさんは、もう一生懸命だった。四人にこのみごとな虹鱒を喰べさせてあげたいという思いで、胸のしんが痛くなるほどだった。