Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.122 Zeichen · 29 Bildschirme
空には、ひとひらの雲もない。海は紺碧の色をして、とろりと微睡んでいる。濡れた肌にほどよく海風が吹きつけ、思わずうっとりとなる。どうも、これは退屈だ。
鮎子さんが、脾肉の歎をもらす。
「つまらない、誰かやって来ないかな」
すこし離れたところで、麒麟の浮嚢で遊んでいる五六人のお嬢さんの組へ叫びかけて見る。
「おゥい、やって来いよゥ」
お嬢さんたちは、聞えないふりをして、自分らだけできゃッきゃと騒いでいる。昨日、四銃士にさんざ水を飲まされた連中だ。
鮎子さんが、口惜しがって、ぶつぶついう。
「よゥし、あとでひどい眼にあわしてやる」
この時である。注意散漫のピロちゃんが、また妙なものを見つけた。
「おや、ローリーさんが、あそこで妙なことをしている」
なるほど、すこし妙だ。
いつもは、ゆっくり過ぎるくらいゆっくり平泳で泳いで来るのに、今日はどうしたというのか、まるで癇癪でも起こしたように、ひどい飛沫をあげて泳いでいる。
クロールともつかず、横泳ぎともつかず、ひどく出鱈目に手足を動かし、それも、急っ込んだり、のろくなったり、たいへんに不規則で、見ようによれば、ふざけているともとれるのである。