Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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キュリーふじんのいのちのほのお

キュリー夫人の命の焔

宮本 百合子

Lesen Sie キュリー夫人の命の焔 (キュリーふじんのいのちのほのお) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.738 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

特許をとれば、明かにラジウムは巨万の富をキュリー夫妻へもたらすでしょう。学生時代から貧乏のしどおしである日々の生活が安らかになるばかりでなく、科学者としてキュリー夫妻が永年の間憧れている設備のいい実験室さえ何の苦もなく持つことが出来るでしょう。それらのことは、彼等のこれまでの辛苦に対して当然のむくいではないのでしょうか。マリヤは静に金儲けのことや物質上の報酬のことを考えた揚句、こう云いました。「私たちの発見に商業的な未来があるとしてもそれは一つの偶然で、それを私たちが利用するという法はありません。」ラジウムが病人を治す役に立つからと云って、そこから儲けることなどマリヤには思いも及ばないことであったのです。ピエールとマリヤは科学者としての彼等の後半生の方向をきめたこの重大な相談に、僅十五分を費したきりでした。夫妻がノーベル賞を授与された祝賀会の講演で次のようにのべたピエールの言葉こそ、キュリー夫妻を不滅にした科学の栄光であると思います。「私は人間が新しい発見から悪よりも寧ろ善をひき出すと考える者の一人であります」と。

〔一九三九年十二月〕