Japanische Klassiker mit Furigana
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シグナルとシグナレス
セロ弾きのゴーシュ
Lesen Sie セロ弾きのゴーシュ (シグナルとシグナレス) von Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.296 Zeichen · 32 Bildschirme
ありときのこ
苔いちめんに、霧がぽしゃぽしゃ降って、蟻の歩哨は鉄の帽子のひさしの下から、するどいひとみであたりをにらみ、青く大きな羊歯の森の前をあちこち行ったり来たりしています。
向こうからぷるぷるぷるぷる一ぴきの蟻の兵隊が走って来ます。
「停まれ、誰かッ」
「第百二十八聯隊の伝令!」
「どこへ行くか」
「第五十聯隊 聯隊本部」
歩哨はスナイドル式の銃剣を、向こうの胸に斜めにつきつけたまま、その眼の光りようや顎のかたち、それから上着の袖の模様や靴のぐあい、いちいち詳しく調べます。
「よし、通れ」
伝令はいそがしく羊歯の森のなかへはいって行きました。
霧の粒はだんだん小さく小さくなって、いまはもう、うすい乳いろのけむりに変わり、草や木の水を吸いあげる音は、あっちにもこっちにも忙しく聞こえだしました。さすがの歩哨もとうとうねむさにふらっとします。
二疋の蟻の子供らが、手をひいて、何かひどく笑いながらやって来ました。そしてにわかに向こうの楢の木の下を見てびっくりして立ちどまります。
「あっ、あれなんだろう。あんなところにまっ白な家ができた」
「家じゃない山だ」
「昨日はなかったぞ」