Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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『ぐうぞうさいこう』じょげん

ゼエレン・キェルケゴオル

和辻 哲郎

Lesen Sie ゼエレン・キェルケゴオル (『ぐうぞうさいこう』じょげん) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.567 Zeichen · 212 Bildschirme

Aozora Bunko

雑役夫は突然の問いにいくらかあわてながら、十一時九分、まだ一時間半ありますと答えた。しかし私の乗って行く臨時汽車は神戸の先まで行く。ことに運転し始めたばかりの臨時汽車は人が知らないのでほとんど数えるほどの人数しか乗らない。恐らく皆が一晩(ゆっくりではなくとも)とにかく寝通して行けるだろう。特に子供は助かる。それに反して普通の直行は臨時汽車の運転を必要とするくらいだからひどくコムに相違ない――で、私は臨時汽車のある事を教えたくてたまらなかったのだ。

私は母親の前に立った。そうして汽車のことを説明した。母親は知らない人から突然口をきかれて、ほとんど敵意に近い驚愕の色を浮かべた。私が「もうすぐ来ます」と言った時には、あわてて立ち上がって、私に礼を言うどころでなくむしろ当惑したような顔つきで、早口に老人や子供をせき立てた。もう彼女の心には私の方などに眼をくれる余裕がないらしく見えた。私は間が悪くなってそんなにあわてなくともまだ時間はゆっくりありますと注意することができなくなった。で仕方なく、側にいる事を恐れる人のように、急いでそうッと待合室を出てしまった。