Japanische Klassiker mit Furigana
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トシオのみたもの
トシオの見たもの
岡本 かの子
Lesen Sie トシオの見たもの (トシオのみたもの) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.531 Zeichen · 21 Bildschirme
「人間は、その後追々たくさんの子孫をふやした。それでもう、人間以外の友だちがいらなくなったばかりか、ただ声の美しい虫や、自分達の働きを、助けさせる獣や、姿のきれいな鳥などばかりとって、ほかのは、みんな除けたり軽蔑してしまったのだよ。それで、蛇はひがんで、のたのた這い廻るし、蛙はがあがあ騒ぐのだし、蜂はぶんぶん腹立ちまぎれに螫しに来るし、狼や獅子は、鋭い牙を研ぎ出したのだよ。もうその時分から、人間は、神様の御恩も、四つの小鳥のことも、大かた忘れてしまったのだよ。そして仕舞には、人間同志でさえ、敵だの味方だのって、喧嘩をする様になっちまったのだ。せっかく神様から戴いた運命の壺まですっかり、投げ出しといてな」
「だって喧嘩なんて、人間を悪魔がどこかで、けしかけてやらせるんだって、僕、誰かに聞きましたよ」
「いいや、神様は悪魔なんて、余計なもの、人間の為にならないものなんか、御自分のつくった大切な世界へ、一つだって、お置きになりはしないのだよ。悪魔とは神様の御恩を忘れたばかりでなく、お互いにあやめ合ったり、傷け合ったりする時の、人間の心をさして云うものなのだよ」