Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.520 Zeichen · 13 Bildschirme
場の大きな窓からは、豚のカツレツを揚げる煙りや、キャベツのスウプの匂いが街道中に流れ出して、葡萄だけでこの三日間ごまかされて来た食慾は、ぜひともここで興行をして、多少ともまとまった食物を送って寄越さなければ承知しないぞ、と威嚇したからである。
村の郵便局の前の広場には、これもあまり柄のよくない「膃肭獣の曲芸」がすでに先着していて、どうやら食慾の命じるままに、ブリキ罐をたたくやら、半鐘を鳴らすやら、必死になって殺伐な呼び込みをしている様子である。
さて、小屋掛けを終り、万国旗と花飾りで幾分の装飾を加え、鼻眼鏡を掛けたペンギン鳥がタンゴ・ダンスを踊っている絵看板を掲げて、これからいよいよ呼び込みを始めようとしたが、なにしろ隣りの呼び込みは猛烈を極めて、今さら、タンボリンや笛などという手ぬるいことでは、とても及びもつかない有様である。タヌは腕組みをしてしばらくの間考えを凝らしていたが、やがて、ハタと膝を打って、
「バルトリ君、この上は仕様がないから、非常手段を用いることにしましょう。君は村中を走り廻って、人殺し! 人殺し! といって触れて歩いてくれたまえ、するとね、あたしは木戸口で、『へえ、人殺しはこちら! 人殺しはこちら!』