Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.520 Zeichen · 13 Bildschirme
といって、みなテントの中へ押し込んで、嘘だと気がついてもすぐ出られないように、入口のところへ馬をつないでしまうから、その間に君はミミイ嬢に演説でもステテコ踊りでもなんでもいいから手早くやらして、はい、代は見てのお戻り、って工合にするのよ。いいわね、わかったわね。……さあ、わかったらすぐ駆け出して行ってちょうだい」
「人殺し! 人殺し! というんだね?」
「そうです、ってば!」
「はい、ようがす」といって、バルトリは身体を毬のようにはずませて、ころげ出して行った。
「コン吉君、君はまた重病のところ気の毒だけど、その幕のうしろにころがっていて、ミミイ嬢が演説の身振りをしたら、『葡萄虫の幼虫とアンチピリンの関係について』というこの論文を早口で読みあげるのよ」
「いや、承知しました、大丈夫」といって、コン吉が杖にすがりながら垂れ幕の後ろによろけ込んで待つ間もなく、広場の四方の小道からただならぬ人馬の喚声が湧きたったと思うと、火事だ! 火事だ! とわめき立てるバルトリ君を先登にして二十人余りの農夫と一人の憲兵と竜土水の水管車が鉄砲玉のようにテントの中へ駆け込んで来た。