Japanische Klassiker mit Furigana
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プウルのかたわらで
プウルの傍で
Lesen Sie プウルの傍で (プウルのかたわらで) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.843 Zeichen · 34 Bildschirme
彼女は言われた通り、全く言われたとおりに、着物も脱がずに、ゴロリと蒲団の上に横になった。彼はそれに背中を向け、部屋の隅の暗い電燈の下に坐って、ポケットから「ポオルとヴィルジニイ」を取出した。外の軒燈は瓦斯なのに、室内は電燈になっていた。彼は上衣を脱いで、その悲しい恋物語の続きを読もうとした。気が散って、同じ所を幾度読んでも、中々意味がとれなかった。それでも彼は読んでいるふりを続けていた。涼しい夜風が簾の外からはいって来た。しばらくすると、後で、女がごそごそ起きて来た。彼は知らん顔をして本を読んでいるふりをしていた。女は彼の横に来て、坐った。彼はまだ知らん顔をしていた。しばらくして、「アカイホン」と、女が独り言のように言った。三造は、はじめて顔を上げて女を見た。女は手持無沙汰で困惑した面持であった。「寝るんだよ。」と彼は、又、床を指して言った。女は益々困ったような、泣笑いのような表情をした。彼女には、どうにも、客の気持がのみこめないのであった。彼女は、間の抜けた、困却しきった微笑を浮べて横に首をまげながら、媚びていいものか、どうか、という風に、客の顔色をうかがった。