Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme
あれ以来、猿沢佐介は感心にも約束を守って、『すみれ』ののれんをくぐらない様子でした。それと同時に蟹江四郎の姿も、ひと頃ほどしげしげとは出入りしなくなったのです。それは猿沢の借金を支払うために、勤め先で金を借りたものですから、月々の給料からそれをさし引かれ、飲み代が捻出できなくなったからでした。
やっと春になって、二人はめでたく結婚式をあげました。結婚といっても、行李一個と共に久美子の身柄が、『すみれ』から蟹江の家に移動しただけの話です。しごくお手軽なものでした。結婚式も蟹江家でおこない、近所の人を小人数招き、約束通り猿沢が仲人に立ちました。猿沢佐介は『高砂や』はど忘れしたというので、その代りに『鞍馬天狗』をうたいました。『花咲かば告げむと言ひし山里の』というあのくだりです。なかなか音吐朗々たる声で、なみいる者は皆すっかり感服したらしい様子でした。
こうして蟹江と久美子の生活が始まったわけです。しかしその生活も、一年半ほどつづいただけで、突然ぴたりと終りを告げました。と言うのは、久美子が秋口の風邪をこじらせて、とうとう肺炎をおこし、はかなくも死んでしまったからです。