Japanische Klassiker mit Furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme
貸して欲しいと切り出した。夫婦で赤穂に行き、先祖の墓参りをして来たいというのです。一週間前四万円という金を渡したのに、もう二千円貸して呉れとはすこし妙だとは思ったのですが、僕が知らない事情があるのかも知れないし、まさか失踪するとは思わないから、間代前納の形式ならそれでもいいと思った。しかし念のために訊ねてみました。
「先祖のお墓って、なにも赤穂まで帰らずとも、泉岳寺にあるじゃありませんか」
すると不破は憐れむような笑い方で僕を見て、
「僕の先祖というのは、なにも数右衛門だけじゃありませんよ。数右衛門の息子だってそうだし、そのまた息子だってそうだし、代々が僕の先祖様なんだ」
なるほど、そう言えばそうですから、僕も納得して、なけなしの財布から千円札二枚渡してやりました。不破の言によると、赤穂行は墓参のためだけでなく、あちらにある山林を処分する用も兼ねているから、一週間や十日はかかるかも知れない。その間の留守番として、遠縁の野呂という男をここに寝泊りさせるから、仲良くしてやってくれ。野呂は明後日頃やって来る筈だ、と言うようなことでした。僕だって留守番の全責任を持たせられるのは重荷ですから、よろこんでその申し出を承諾しました。