Japanische Klassiker mit Furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme
「あんまり無理しない方がいいよ」
「無理って、なにが無理なんだい」吊皮に下ったまま、中山が赤い鼻を近づけてきた。
「いや。わざわざそんなところに行ったりして、大変だっただろう」
「だって、可哀そうだからね」
「可哀そうって、誰が?」
窓の外に、線路と平行した街道で、自動車が衝突したのか人を轢いたのか、車や人がごちゃごちゃに群れているのが眼にとまった。家並にさえぎられて、それはすぐ見えなくなった。中山もその光景に一瞬心をうばわれたのか、返事をしなかった。電車の轟音がひどく単調にひびいていた。しばらくして彼が聞いた。
「あの病院のこと、記事になるかね」
「うん」光線の具合か、中山は暗く沈鬱な顔をしていた。「どうにか書けるさ。それが商売だもの」
「しかし変なものだね」すこし間をおいて彼は言った。「精神鑑定を申請してさ、気違いということになれば、三元は無罪になるだろう。しかし三元にして見れば、気違いになるよりは、刑務所へ行った方がいい、と言い出すかも知れないね」
「そりゃそうかも知れん」
「その点から言えば、僕たちはひどく僭越なことをやってるとも思うんだよ。三元のことだけに限らず、どんなことにもね。