Japanische Klassiker mit Furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme
そしてその聯想で、小菅の三元のことを考えた。おそらくあそこでは、鏡を手許におけないだろうし、鏡にうつった自分をしげしげと眺める機会は、ほとんどないだろう。そして悪くすれば向う数年間、鏡から遮断された生活が三元に課せられることを思ったとき、ふと三元の不幸がはっきりした実感で近づいてくるのを彼は感じた。父親の盲目を告白したときの三元の顔を、彼はその感じのなかで思い出した。それは何ものへとも知れぬ憤怒と嫌悪に堪えているような表情であった。(草津節をたたいた発田の顔にも――)鬚剃り道具をしまいながら彼は思った。(それに似たものがあったな。どういうものだろうな、あれは)
雲もなくて、いい天気であった。彼は身仕度して、外へ出た。道はよく乾き、風のために塵埃が立っていた。家並の遠くの空に、紙凧が二つ三つ上っていた。そしてそれは風に揺れていた。それを見ながら彼は駅の方にあるいた。駅に近づくにつれて、だんだん道の両側に物を売る店が多くなってきた。彼はその一軒一軒を物色しながらあるいた。新聞などで小菅には差入屋があることは知っていたが、どういうものをどういう方法で差入れるのか彼は知らなかった。