Japanische Klassiker mit Furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme
やがて不安と困惑の色が彼の顔いっぱいに拡がって来たようでした。
「不思議だねえ」彼はがっくりと板の間に腰をおろし、嘆息するように言いました。「何か誤解がある。まるでこの世には誤解が充ち満ちているようだ」
「君が買い受けたってのは、どんな事情だね」と僕もおろおろと訊ねました。「不破数馬氏からちゃんと買い受けたのかい?」
「そうだよ」
野呂はそれからいじめられた子供みたいな表情になって、語り始めました。それによると、半月ほど前、新聞広告欄で売家の広告を見て、この家に不破を訪れたんだそうです。すると不破は家の内外をくわしく見せ、土地も借地であるし、家もボロ家であるからして、十五万円にお負けしようとのこと。野呂の方も大体手頃の値段だと思ったが、言い値で買うのは野呂家の家憲に反するので、とりあえず一万円値切った(ケチな男ですな)というのです。すると不破はニコニコしながら快諾した。そこで野呂は四万円を手付けとして置き、残余の十万円が都合出来次第引越して来て、その節登記の変更をしようという話にまとまったんだそうです。
「だから僕は引越し車を引いてやって来たんだ」と野呂は悄然と頭を垂れました。