Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ボロやのしゅんじゅう

ボロ家の春秋

梅崎 春生

Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

……

こういう言い争いを、いつか確かにしたことがある。何年前のことか、場所はどこだったか、思い出せない。思い出せないけれども、同じ条件で、同じ調子で、同じような人物を相手に、言い争った。気分もその時と同一だった。その意識が彼の語調を弱くさせていた。彼は言った。

「どうしても這入れないと言うんだね」

「うん。這入れないね」

運転手は前を見据えたまま言った。料金表示器は三百円をさしていた。

「こんな狭い道はムリですよ」

「しかしだね、ちょっと狭そうに見えるけれど、昼間にはトラック、大型は入りにくいが、とにかくトラックや乗用車が、すいすいと入ったり出たりしてるんだぜ」

矢木を降してから十五分ほど走り、車は彼の家の近くまで来た。道路に囲まれた三角地帯がある。どんな具合に区切っているのか知らないが、四軒の家がそこに建っている。車が停ったのは、その一軒の前で、彼の家はそれから反対側に折れたところにあるのだ。この一軒はまだ起きていて、窓から燈が漏れている。鉄線で編んだ塀には、バラがからんでいて、白や赤の花をいくつもつけているのが見える。この家は以前は歯科医が住んでいたが、はやらなかったらしく一年くらいで引越し、今はアメリカ人が住んでいる。