Japanische Klassiker mit Furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme
珈琲を注文しながら僕が聞いた。
「翌日船橋に行くと言ってたが、行ったのかね」
「行ったよ。話は其処から始まるんだ」と彼が答えた。以下が珈琲をすすりながら彼が物語った話である。――
「船橋という町には俺は始めてだが、あれは誠に佗しい町だな。昼間だというのに日暮みたいな感じがする。それが賑かじゃないのかといえば結構賑かなんだ。道端では荷を拡げて魚や貝を売っているし、その前を人がぞろぞろ通っているしさ。しかし皆何故水から引き上げられた犬みたいに険しい惨めな眼付をしているのだろう。俺の気分が憂鬱だったからそんなふうに見えたのか。
断って置くが俺は何も船橋くんだりまで物見遊山に行ったんじゃない。船橋にいる友達の所に就職の相談に行ったのだ。職に就かなきゃ女房子供が飢えるからな。それが剣もほろろの挨拶なんだ。今どき就職口などあるかと言うんだ。俺も腹を立てて直ぐその家を飛出した。俺は少し亢奮していた。道端の店々をにらみつけながら砂埃の道を停車場に歩いていた。気持がせかせかと落着かない。ぞろぞろ行交う派手な兄哥連が何だか俺にさからうような気がする。ささくれ立った気持で急ぎながら俺は思わず、一層のこと闇屋にでもなったろか、と声出して呟いていた。