Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ボロやのしゅんじゅう

ボロ家の春秋

梅崎 春生

Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

古畑老人は一日のうち何度もここに降りてきて、肩をそびやかせてうろうろ見廻ったり、しゃがみこんで草花の虫を殺したりしている。その姿勢や挙動は、庭にたいする偏愛というより、もっと原始的な本能みたいなものを感じさせる。磨き立てられたようなその庭から、境界をひとつ越えると、私の家の庭がつづくわけだが、ここは草が茫々と生い茂り、樹々は枝を自在に伸ばして、おどろおどろと荒れている。垣もすっかり朽ち果てて、犬や猫も自由に通るし、蜘蛛もあちこち巣を張るし、空には小鳥やアブや蜂がとび廻り、地には蟻やトカゲや斑猫が這い廻っている。しかしこれは、家に付属しているからには、空地というよりやはり庭だろう。その庭の、縁側から一番遠い部分に、大きなモグラが一目散に這って行ったような、地面の直線的な隆起を、ある日私は偶然に発見した。

ふだん私は庭に対しては、眺めるだけの眼で眺めているだけで、歩き廻ったり分け入ったりすることも、ほとんどないのだが、その日は笹の葉かなにかが必要なことがあって、それを探しに入ったのだと覚えている。すると雑草のカーテンの彼方に、そのような隆起がいっぽん横たわっていたのである。