Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ボロやのしゅんじゅう

ボロ家の春秋

梅崎 春生

Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

そこで老先生は暇なので、魚釣りに行ったり、太いステッキを突いて散歩したり、そのついでにぼくの画室に立寄ったりするのです。退屈しのぎなのか、何かぼくに関心があるのか。

ぼくが赤木医院の門を初めてくぐったのは、二年ほど前のことです。ある日、ふと大根おろしが食べたくなって、八百屋から大根を買って来て、シラス干しをたっぷりふりかけ、勢い込んで食べようとしたら、箸が妙な具合にピョンとはねて、シラス干しが一匹大根おろしをお伴につれて、いきなりぼくの眼の中に飛び込んだのです。びっくりしましたねえ。びっくりと言うより、眼玉がキリキリと塩辛く、ぼくは思わず飛び上った。

急いで眼を洗ったけれど、まだ塩辛さが残っていて、それにごろごろと異物感がする。医者に見せた方がいいと判断して、早速赤木医院にかけ込んだわけです。赤木医師は眼科じゃないが、そんなことを考えている余裕はない。他の医院じゃ、待たせられますからねえ。シラス干しが眼の中で泳いでいるなんて、一見風流なようですが、当人としてはメクラになるかも知れないぞと、気が気じゃない。運よく赤木医師は在宅していました。瞼をひっくり返したり、懐中電燈で照らしたりして探したが、シラス干しはいないとのことでした。