Japanische Klassiker mit Furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme
「患者に一切こづかいを持たせないで下さい。金はこちらで預って、必要な度に与えることにしますから」
それから病院での看視も、いくらか厳重になったようです。大久保の話によると、甚五のようなのは乱暴を働いたり、他人に迷惑をかけたりする病状ではないので、開放的な大部屋に収容されているという。それで一ヵ月ばかりは戻って来なかったのです。こづかいを取り上げられて、電車に乗りたくても乗れないからです。歩いて帰るには、あまりにもわが家は遠過ぎる。
しかし甚五の嫉妬妄想は、それでおさまったわけじゃない。時々むらむらと、周期的に発するものらしいですな。個人差はあるのでしょうが、甚五の場合はそうでした。突如として身支度をして、
「おれは今から帰宅する」
と宣言して、出かけようとする。帰られちゃ病院の方でも困るので、甚五を押えつけて電気ショックをかける。見たことはないが、あれは乱暴な療法だそうですねえ。双のこめかみから電気を通すと、テンカンみたいなはげしい痙攣を起して、ぐったりとのびてしまう。意識がなくなってしまうのです。
「あんなに電気ショックに強い人は、ちょっとめずらしいですな」