Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ボロやのしゅんじゅう

ボロ家の春秋

梅崎 春生

Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

ぼくの膝をかすめて、バクの鼻柱に命中した。バクというのは、その犬の名です。バクはぎゃっと悲鳴を上げて、すてんところびました。見ると鼻から血がどくどくと流れています。鼻血なんて人間だけかと思ったら、犬も出すんですな。バクはやっと起き上り、ぼくを怨めしげに見上げ、舌でぺろぺろとそこらを舐め廻すものですから、顔や顎や前肢が真赤になってしまいました。人間なら上を向いて、首筋をとんとんと手で叩くところですが、犬にはその芸当は出来ません。叩こうにも、犬には手がない。

校庭の柵を乗り越えて、のそのそとボールを拾いに来たのが平和なのです。彼はこの中学の生徒でしょう。ぼくの方は見ず、一切無表情でボールを拾い、また柵をぎくしゃくとまたいで戻って行きました。バクが血だらけになっているのが見えた筈ですが、それについての挨拶は何もなかった。

「ふん。九州のモロキュウ」

と、ぼくは思いました。

「あれはどういうつもりだろうな。頑強におれというものを拒否してるみたいだ」

校庭で亀田君あたりとキャッチボールをしている。ボールが外れて道に飛び出し、バクの顔に当った。と考えるには、あまり偶然過ぎるようだし、それ球にしては勢いが強過ぎた。