Japanische Klassiker mit Furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme
「さあ。あったかいうちにお食べ」
僕らは箸をとり、卓の粉胡椒をやけくそな勢いでふりかけ、もぐもぐと食べ始めました。野呂なんかは胡椒をあんまりかけ過ぎて、それが鼻孔に入ったらしく、大きなくしゃみを五つ六つ続けさまに出したくらいです。陳根頑は椅子により、僕らが食べている有様を、眼を細めた老獪な表情でじっと眺めていました。僕はまるで夕飯のお余りを頂戴する犬か何かのような惨めな気持になって箸を動かしつづけました。
この日以来、僕ら二人は同じ家に住みながら、ほとんど口をきき合わなくなりました。生活上必要な最少の会話しか交さない。つまり会話は用事がある場合だけに限り、お早うとかおやすみのあいさつも一切省略です。野呂は毎日学校に通い、僕は僕で借財のためのアルバイトに大童でした。実際家は買ったものの、まだ一向に自分の家だという実感がない。家賃を払わなくても済む、以前と違う点はそのくらいなもので、あとはほとんど変らないのです。もっとも野呂の方は、新しく犬と猫を一匹ずつ飼い始めました。訊ねてみないから判らないけれど、野呂のことですから、ムダに飼うわけがありません。おそらく犬は家屋の番をさせるつもりでしょうし、猫には鼠をとる任務が課されているに違いありません。