Japanische Klassiker mit Furigana
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モスクワいんしょうき
モスクワ印象記
宮本 百合子
Lesen Sie モスクワ印象記 (モスクワいんしょうき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.941 Zeichen · 42 Bildschirme
の作者の両親は何であったか。ヴォルガの浮浪労働者であった。幼年時代のグラトコフは、いわゆる教育は何一つ与えられなかった。然し、生きるにつれ、彼を取りかこむ人生の波瀾と悲喜が彼の魂を呼びさまし、呼びさまし、終に彼をして書かしめた。ドストイェフスキーを日本に於ける翻訳広告にはいつも人道主義作家と銘うつが、ドストイェフスキー自身はそんな気持なしに書いたのが、ここの周囲の生活を眺めると明かにわかる。ただ彼は、彼の病的な、然し敏感な魂をはだかにして彼の生きたロシアの底なき生活の底へ底へと沈んで行った。ドストイェフスキーの人物は決して観念的なこしらえものではない。彼の作品中から最も異常な一人の存在を見つけて来ても、ロシアにならばそのような人物は実在し得るのだ。ドストイェフスキーが非難されるとしたら、彼自身の病的さによって、あまり彼の人物の描線に戦慄のあることだ。嘘を描いたことではない。
私は一人の外国人だ。昔のロシアを知らぬ。ロシア民族史中最も活動的な、テンポ速き現代に於て、群衆の都会モスクワに住んでいる。それでさえも、或る時自分に迫る恐ろしいロシアの深さを感じる。