Japanische Klassiker mit Furigana
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モスクワいんしょうき
モスクワ印象記
宮本 百合子
Lesen Sie モスクワ印象記 (モスクワいんしょうき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.941 Zeichen · 42 Bildschirme
熱心になかなかうまく話す。又、民衆は言葉に対する一種の馴れと敏感さとをもっていて非常によい聴きてだ。人混みの中でもいつかしら際だった一つの声の云うことは聴いていて、野次る。或は賛成する。――批評があるのだ。これは、モスクワ市井生活の愉快な特徴の一つで、革命前は人口の約半数読み書きを知らなかった民衆が、いかに言葉で訓練されて来たか、言葉をふるいわける才能を磨かれて来たか、興味がある。若しロシアの民衆が昔からの一種特別なこの才能を持たなかったら、革命前後の状態は一九一七年に在ったようには無かったろう。それが音楽的にふるえるとシャリアピンに成りそうな大声でロシア的雄弁を爆発させるのを観て、呑気だと批評するのを聞く。而し、呑気の内容が全然ここでは違う。日本の呑気は、彼の心の表面に万事を軽く受けることである。或は速かな忘却と、無頓着を意味する。ロシアのイワンにそれは出来ぬ。彼はモスクワから何処かの村へ行かなければならない。停車場へ行った。切符売場への列が二廻りも待合室をうねくっている。予定の時間に立つ列車にもちろん乗りおくれた。次のにも怪しい。夜が更ける。