Japanische Klassiker mit Furigana
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モスクワいんしょうき
モスクワ印象記
宮本 百合子
Lesen Sie モスクワ印象記 (モスクワいんしょうき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.941 Zeichen · 42 Bildschirme
「停車場を出んとする王、カリーニン、ヴォロシロフ、並アフガニスタン大使」最後に、「停車場前の閲兵」。――コーリヤは、パジシャフの敬礼の仕振りや、光った長靴やらを少年らしくじろじろ眺めていたが、いきなり、
――ママ!
母を呼びかけた。
――なに。
――ママ、何故こんなにパジシャフを歓迎するのさ。自分の皇帝は悪いって殺しといて、何故よその皇帝は歓迎するのさ。
――…………………。
母は答えない。
――ママ!
髪のほつれた頭を仕事にうつむけたまま母は短く答えた。
――外交に必要だからだよ。
日本女の部屋のテレスの欄干に雨のしずくがたまった。昨日雨が降った。今日も雨が降る。五月の雨である。
日本女は、そこに六ヵ月生きたモスクワから、新生活が始まったばかりのロシアを強く感じている。СССРは、二十世紀の地球に於て他のどこにも無いよいものを持とうとしている。同時に他のどこにも無い巨大な未完成と困難を持っている。
モスクワ河から風が吹いて電線がゆれた。電線の雨のしずくが光って落ち、基督救世主寺院の散歩道で、空っぽのベンチが四つ、裸の樹の枝のかなたで濡れている。