Japanische Klassiker mit Furigana
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ワルシャワのメーデー
ワルシャワのメーデー
宮本 百合子
Lesen Sie ワルシャワのメーデー von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.621 Zeichen · 10 Bildschirme
右へ行っていいのか、左へ行っていいのか、見当がわからないので、通りがかりの爺さんに、
「劇場広場はどっちですか」
ときいた。
「劇場広場? あなたが行くんですか」
わたしたちを頭の先から足の先まで見下して、驚いたことには、この爺さんまで、
「ウーム」と、うなった。
「左へ行くんです、それから右へ行くんです、そうするとつきあたりが劇場広場だが……やめたらいいでしょ」
やめるために聞きはしない。行くためにきくのだ。教えられたとおりに行くと、通りは次第に群衆でつまってきた。みんな一種緊張した何かを期待しているような目付で数人ずつ連れだち、ゾロゾロ歩いているが、どこにも組織されたデモンストレーションの列は見当らない。広場に近づくにつれ、意外のものがめにとまった。まるで戒厳令だ。通りに面している店と云う店はことごとく表戸をしめている。板戸に錠前をかけ、あるところでは鉄扉がおろされている。
広場の中心へ行くと、やっと、行列らしいものがあった。往来でもみかけたようなレイン・コートの一隊が広場をグルリと列で取り巻き、手に手におそろしく太いおんなじ形のステッキをついている。