Japanische Klassiker mit Furigana
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ヴィヨンのつま
ヴィヨンの妻
Lesen Sie ヴィヨンの妻 (ヴィヨンのつま) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.363 Zeichen · 112 Bildschirme
もう既に、だいぶ召上っている様子でしたが、とにかく、奥さんもご存じでしょう、あんな酒の強いひとはありません。酔ったのかと思うと、急にまじめな、ちゃんと筋のとおった話をするし、いくら飲んでも、足もとがふらつくなんて事は、ついぞ一度も私どもに見せた事は無いのですからね。人間三十前後は謂わば血気のさかりで、酒にも強い年頃ですが、しかし、あんなのは珍らしい。その晩も、どこかよそで、かなりやって来た様子なのに、それから私の家で、焼酎を立てつづけに十杯も飲み、まるでほとんど無口で、私ども夫婦が何かと話しかけても、ただはにかむように笑って、うん、うん、とあいまいに首肯き、突然、何時ですか、と時間をたずねて立ち上り、お釣を、と私が言いますと、いや、いい、と言い、それは困ります、と私が強く言いましたら、にやっと笑って、それではこの次まであずかって置いて下さい、また来ます、と言って帰りましたが、奥さん、私どもがあのひとからお金をいただいたのは、あとにもさきにも、ただこの時いちど切り、それからはもう、なんだかんだとごまかして、三年間、一銭のお金も払わずに、私どものお酒をほとんどひとりで、飲みほしてしまったのだから、呆れるじゃありませんか」