Japanische Klassiker mit Furigana
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ヴィヨンのつま
ヴィヨンの妻
Lesen Sie ヴィヨンの妻 (ヴィヨンのつま) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.363 Zeichen · 112 Bildschirme
思わず、私は、噴き出しました。理由のわからない可笑しさが、ひょいとこみ上げて来たのです。あわてて口をおさえて、おかみさんのほうを見ると、おかみさんも妙に笑ってうつむきました。それから、ご亭主も、仕方無さそうに苦笑いして、
「いや、まったく、笑い事では無いんだが、あまり呆れて、笑いたくもなります。じっさい、あれほどの腕前を、他のまともな方面に用いたら、大臣にでも、博士にでも、なんにでもなれますよ。私ども夫婦ばかりでなく、あの人に見込まれて、すってんてんになってこの寒空に泣いている人間が他にもまだまだある様子だ。げんにあの秋ちゃんなど、大谷さんと知合ったばかりに、いいパトロンには逃げられるし、お金も着物も無くしてしまうし、いまはもう長屋の汚い一部屋で乞食みたいな暮しをしているそうだが、じっさい、あの秋ちゃんは、大谷さんと知合った頃には、あさましいくらいのぼせて、私たちにも何かと吹聴していたものです。だいいち、ご身分が凄い。四国の或る殿様の別家の、大谷男爵の次男で、いまは不身持のため勘当せられているが、いまに父の男爵が死ねば、長男と二人で、財産をわける事になっている。