Japanische Klassiker mit Furigana
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ヴィヨンのつま
ヴィヨンの妻
Lesen Sie ヴィヨンの妻 (ヴィヨンのつま) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.363 Zeichen · 112 Bildschirme
「お前も、しかし、東京では女でしくじったが」と大声で言って、にやりと笑い、「俺だって、実は、東京時代に、あぶないところまでいった事があるんだ。もう少しで、お前と同じような大しくじりをするところまでいったんだ。本当だよ。じっさい、そこまでいったんだ。しかし、俺は逃げたよ。うん、逃げた。それでも、女というものは、いったん思い込んだ男を忘れかねると見えるな。うわっはっは。いまでも手紙を寄こすのだよ。うふふ。こないだも、餅を送ってよこした。女は、馬鹿なものだよ、まったく。女に惚れられようとしたら、顔でも駄目だ、金でも駄目だ、気持だよ、心だよ。じっさい俺も東京時代は、あばれたものだ。考えてみると、あの頃は無論お前も東京にいて、芸者を泣かせたりなんかして遊んでいた筈だが、いちども俺と逢わなかったのは不思議だな。お前は、いったいあの頃は、おもにどの方面で遊んでいたのだ」
あの頃とは、私には、どの頃かわからない。それに私は東京に於いて、彼の推量の如くそんな、芸者を泣かせたりして遊んだ覚えは一度だって無い。おもに屋台のヤキトリ屋で、泡盛や焼酎を飲み、管を巻いていたのである。