Japanische Klassiker mit Furigana
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いったとはは
一太と母
宮本 百合子
Lesen Sie 一太と母 (いったとはは) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.507 Zeichen · 21 Bildschirme
一太は憤慨して涙が出そうになった。学校へ行かないのだって平気であったが忠公にそう云われると口惜しかった。拳固を握りしめて、一太は、
「おっかちゃんにチンポコなんぞなーいよ、イーだ!」
とやりかえした。一太と忠公とは四尺ばかり離れたあっちとこっちで、睨めっこしたり、口の中に両方の小指を突こんでベッカンコをしたりして遊んだ。いい加減遊ぶと忠公はぷいと、
「あばよ、パいよ」
と云って引こむ。
一太は長いこと長いこと母親の手許を眺めていてから、そっと、
「キャラメル二銭買っとくれよ、おっかちゃん」
とねだった。
「…………」
「ね! 一度っきり、ね?」
「駄目だよ」
「なぜさ――おととい玉子あんだけ売ったんじゃないか」
「またそんなこという! こんな雨が三日も続けばあのお金でやっとこせじゃないか」
一太は黙り込んだ。一太は金のないという状態の不便さをよく理解していた。金がないと云われれば一太は飯さえ一膳半で我慢しなければならなかった。――
一太は口淋さを紛すため、舌を丸めて出したり、引こませたり、下目を使って赤くぽっちりと尖った自分の舌の先を見たりし始めた。母親は、縫物の手を休めず、