Japanische Klassiker mit Furigana
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いっすんぼうし
一寸法師
江戸川 乱歩
Lesen Sie 一寸法師 (いっすんぼうし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 96.475 Zeichen · 194 Bildschirme
彼女は何かしら騒動が起ったことを感じて、やっとそこまで出て来たところだった。
紋三は老婆をつきのけて入口へ走った。そこにあり合せた下駄を突かけて門の外へ出た。見張りの刑事は一寸法師の方へ行って誰もいない。彼等はもう暗くなり始めた町を、人通の少い方へ少い方へと、よろめきもつれて走った。幸い誰も見咎める者はなかった。
電車通りも無難に越して、彼等はいつか隅田川の堤へ出ていた。その外に逃げ道はなかったのだ。夫人は息切れがしてしばしば倒れ相になった。紋三の肩に縋った夫人の手が、キュッキュッと彼の首をしめた。冷たい乱れ髪が彼の耳をなぶった。やがて彼等は山野邸への曲り道までたどりついた。
「そちらへ行くんじゃありません、今家へ行ったらつかまるばかりです。サア、もっと走るんです」
「イイエ、私はどうしても、一度家へ帰らなければならない。離して、離して」
夫人はか弱い力をふり絞って、邸の方へ曲ろうとしたが、紋三がしっかり抱き込んで、そうはさせなかった。
「心配しないだっていいです。僕はどこまでもあなたと一緒に行きます。サア、愚図愚図している時じゃありません。逃げましょう。