Japanische Klassiker mit Furigana
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いっすんぼうし
一寸法師
江戸川 乱歩
Lesen Sie 一寸法師 (いっすんぼうし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 96.475 Zeichen · 194 Bildschirme
男は威圧的な態度を一変して、身もだえをしながら哀願した。いつのまにか、外套姿の長い身体が、横倒しになって、奇怪な長虫の様に、身をくねらせながら、百合枝の方に近づいて来た。
「あなたは一体だれです。私の知っているあなたではないのですか。だれです、だれです」
百合枝は一層隅の方へ身をすくめながら、上ずった声で叫んだ。
「あなたはそれが知りたいのですか。じゃ、今教えて上げる」
横たわっていた男が、飛び上る様にはね起きて、つと電燈の方へ手を伸したかと思うと、パチッという音がして、突然部屋が真暗になった。
二階の雨戸がすっかり閉っている上に、外の往来にも薄暗い門燈の外には何の光もないので、電燈が消えると部屋の中は真の暗であった。
百合枝夫人はその中で、ある身構えをしてじっと男のいた方角を見つめて居た。彼女は何よりも今度の事件の真相が暴露することを恐れた。その秘密を保つ為にはどんな犠牲も忍ばねばならぬと覚悟を極めていた。それに、生娘でもない彼女は、はしたなく悲鳴を上げる様なことはなかったけれど、でもやっぱり、いい知れぬ恐怖に胸の辺がビクビク震え出すのをどうすることも出来なかった。