Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼくのぼうしのおはなし
一房の葡萄 他四篇
有島 武郎
Lesen Sie 一房の葡萄 他四篇 (ぼくのぼうしのおはなし) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.712 Zeichen · 39 Bildschirme
妹は寝衣に着かえて臥かしつけられると、まるで夢中になってしまって、熱を出して木の葉のようにふるえ始めました。お婆様は気丈な方で甲斐々々しく世話をすますと、若者に向って心の底からお礼をいわれました。若者は挨拶の言葉も得いわないような人で、唯黙ってうなずいてばかりいました。お婆様はようやくのことでその人の住っている所だけを聞き出すことが出来ました。若者は麦湯を飲みながら、妹の方を心配そうに見てお辞儀を二、三度して帰って行ってしまいました。
「Mさんが駈けこんで来なすって、お前たちのことをいいなすった時には、私は眼がくらむようだったよ。おとうさんやお母さんから頼まれていて、お前たちが死にでもしたら、私は生きてはいられないから一緒に死ぬつもりであの砂山をお前、Mさんより早く駈け上りました。でもあの人が通り合せたお蔭で助かりはしたもののこわいことだったねえ、もうもう気をつけておくれでないとほんに困りますよ」
お婆様はやがてきっとなって私を前にすえてこう仰有いました。日頃はやさしいお婆様でしたが、その時の言葉には私は身も心もすくんでしまいました。少しの間でも自分一人が助かりたいと思った私は、心の中をそこら中から針でつかれるようでした。