Japanische Klassiker mit Furigana
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かじとポチ
一房の葡萄
有島 武郎
Lesen Sie 一房の葡萄 (かじとポチ) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 23.753 Zeichen · 48 Bildschirme
ました。葦と別れてから幾日めでしたろう。ある寒い夕方野こえ山こえようやく一つの古い町にたどり着いて、さてどこを一夜のやどりとしたものかと考えましたが思わしい所もありませんので、日はくれるししかたがないから夕日を受けて金色に光った高い王子の立像の肩先に羽を休める事にしました。
王子の像は石だたみのしかれた往来の四つかどに立っています。さわやかにもたげた頭からは黄金の髪が肩まで垂れて左の手を帯刀のつかに置いて屹としたすがたで町を見下しています。たいへんやさしい王子であったのが、まだ年のわかいうちに病気でなくなられたので、王様と皇后がたいそう悲しまれて青銅の上に金の延べ板をかぶせてその立像を造り記念のために町の目ぬきの所にそれをお立てになったのでした。
燕はこのわかいりりしい王子の肩に羽をすくめてうす寒い一夜を過ごし、翌日町中をつつむ霧がやや晴れて朝日がうらうらと東に登ろうとするころ旅立ちの用意をしていますと、どこかで「燕、燕」と自分をよぶ声がします。はてなと思って見回しましたがだれも近くにいる様子はないから羽をのばそうとしますと、また同じように「燕、燕」