Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かじとポチ

一房の葡萄

有島 武郎

Lesen Sie 一房の葡萄 (かじとポチ) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 23.753 Zeichen · 48 Bildschirme

Aozora Bunko

ぼくたちはその乞食を何よりもこわがった。ぼくはその乞食が妹と弟とをさらって行くのだと思った。うまいことには、その人はぼくのそこにいるのには気がつかないほどあわてていたとみえて、知らん顔をして、ぼくのそばを通りぬけて行った。ぼくはその人をやりすごして、すこしの間どうしようかと思っていたが、妹や弟のいどころが知れなくなってしまっては大変だと気がつくと、家に帰るのはやめて、大急ぎでその男のあとを追いかけた。その人はほんとうに早かった。はいている大きなぞうりがじゃまになってぬぎすてたくなるほどだった。

その人は、大きな声で泣きつづけている妹たちをこわきにかかえたまま、どんどん石垣のある横町へと曲がって行くので、ぼくはだんだん気味が悪くなってきたけれども、火事どころのさわぎではないと思って、ほおかぶりをして尻をはしょったその人の後ろから、気づかれないようにくっついて行った。そうしたらその人はやがて橋本さんという家の高い石段をのぼり始めた。見るとその石段の上には、橋本さんの人たちが大ぜい立って、ぼくの家の方を向いて火事をながめていた。そこに乞食らしい人がのぼって行くのだから、ぼくはすこし変だと思った。