Japanische Klassiker mit Furigana
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いちにち
一日
宮本 百合子
Lesen Sie 一日 (いちにち) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.275 Zeichen · 3 Bildschirme
降りたくても降れないと云う様な空模様で、蒸す事甚い。
今朝も早くから隣の家でピアノを弾いて居るが気になって仕様がない。
もう二三年あの人は、此処に別荘を持って居て、ついぞ琴の音もした事がないのに、急にピアノがきこえて、それが又かなりよい音だ。
おとといの晩から、何かして居ても、聞えると、一寸手をとめて耳をすます。
食堂の出まどに腰をかけて、楓の茂みの中から響いて来る音に注意すると、Haydn のものらしい軽い踊る様な調子がよく分る。
弾手は男かしら女かしら。
女の人にしては少し疎雑な手ぶりがあるが、いつの間にとりよせたか、来たかしたんだろう。
私は、そんな事をかなり真面目に考えて居た。
その音をきいて居ると、急に、自分のピアノのFaのシャープの出ないのが気になり出す。
雨がつづいて居る時分からああなり出したので、天気がなおるとよくなるまいものでもないと放って置いたけれ共、一向によくならない。
今日はどうしても高井にたのまなければならないからと思って電話をかける。
声の太い頭の鈍そうな男が出て、私が早口だと見えて、
「おそれ入りますが、どうぞ、
もう少しゆっくりおっしゃって下さい。