Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのまど
三つの窓
Lesen Sie 三つの窓 (みっつのまど) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.811 Zeichen · 14 Bildschirme
彼は一通り読んでしまうと、一本の巻煙草に火をつけながら、ちょうど前にいたY中尉にこの手紙を投げ渡した。
「何だ、これは? ……『昨日のことは夫の罪にては無之、皆浅はかなるわたくしの心より起りしこと故、何とぞ不悪御ゆるし下され度候。……なおまた御志のほどは後のちまでも忘れまじく』………」
Y中尉は手紙を持ったまま、だんだん軽蔑の色を浮べ出した。それから無愛想にA中尉の顔を見、冷かすように話しかけた。
「善根を積んだと云う気がするだろう?」
「ふん、多少しないこともない。」
A中尉は軽がると受け流したまま、円窓の外を眺めていた。円窓の外に見えるのは雨あしの長い海ばかりだった。しかし彼はしばらくすると、俄かに何かに羞じるようにこうY中尉に声をかけた。
「けれども妙に寂しいんだがね。あいつのビンタを張った時には可哀そうだとも何とも思わなかった癖に。……」
Y中尉はちょっと疑惑とも躊躇ともつかない表情を示した。それから何とも返事をしずにテエブルの上の新聞を読みはじめた。ガンルウムの中には二人のほかにちょうど誰もい合わせなかった。が、テエブルの上のコップにはセロリイが何本もさしてあった。